改善事例集~飲食業編

みなさんもご存知のように、飲食業界はスタッフの賃金に関して問題を抱えています。経営を抜本的に変化し、従業員満足度を高めなければ、業界全体の発展やスタッフの離職率は改善されません。
飲食業の経営を改善するには、具体的にどのような方法があるのでしょうか?今回は助成金や専門家の知識を利用し、経営改善に成功した飲食業の事例をご紹介致します。

目次

1.経営改善により賃金が上昇した事例

経営改善した飲食業の成功事例集

業界全体が低賃金の傾向にある飲食業は、スタッフの離職率が高い業界だと言えます。低賃金である理由はさまざまですが、経営が抱える問題に向き合わなければ改善することはありません。しかし、どのようにアプローチすれば良いのか判断が難しいことも事実です。

そこで問題を抱えていた会社がどのように経営を改善したのか、いくつかの参考事例をご紹介致します。

①受付業務の効率化により離職率低下

受付業務に問題を抱えていた、岡山県にある中小規模の飲食会社。同社は受付予約やキャンセルの正確性が低く、顧客に対して最善のサービスが提供できていませんでした。
スタッフから効率化を願う声もあり改善策を検討。これまで電話やFAX、紙媒体でやり取りしていた業務の刷新を計画しました。

経営改善に助成金を活用し、インターネット予約と顧客管理システムを導入。さらに制服を新しいものに変更することで、スタッフの意識向上と顧客からの印象アップを狙いました。
その結果、受付業務は効率化されて作業は減少。スタッフの離職率は改善され最低賃金の引き上げが実施されました。

②オーダーミスを削減し顧客評価アップ

ホール業務でのミスに悩まされていた、石川県にある中小規模の飲食店。同店ではオーダー管理を紙伝票で行っていたため、注文された料理と調理品の間違いが発生していました。
会計時の作業も大きな手間となっていたので、作業の効率化を狙ってオーダーエントリーシステムを導入。

結果として人的ミスが削減され、顧客の満足度が上昇しました。これにともなって全スタッフの給料引き上げを実施しています。
※オーダーエントリーシステムとは、ファミリーレストランなどでよく用いられているデータ機器です。ホールスタッフがオーダーを入力すると、キッチンやPOSレジと共有される仕組みになっています。

③料理の配膳に機材を使用し商品ロス減少

配膳プロセスに問題を抱えていた、福岡県にある中小規模の飲食店。ビルの1~3階を使用して店舗を展開しており、厨房から別フロアへ料理を運ぶ際に商品ロスがありました。
同店は助成金を利用して小荷物専用昇降機を導入し、これまで悩まされていた配膳の問題の快活を試みました。作業負担は20%ほど減少し、飲食物がこぼれるミスが解消されました。
これまで商品ロスが原因で落ち込んでいた顧客評価も改善し、生産性の向上によりスタッフ2人の昇給を実施しています。

④サービスのマニュアル化により回転率向上

接客サービスに問題があった滋賀県にある小規模の飲食店。スタッフが10人以下の小さな店舗ですが、オペレーションマニュアルがないため接客の質がバラバラでした。同店では新人教育に長期間かかり非効率であったため、専門家の指南のもと業務をマニュアル化。

マニュアル導入により提供までの時間が10%短縮され、負担が軽減された店長はマネジメントに注力できる体制へと改善されました。また評価に応じて給料が変動する賃金制度を採用し、社員のモチベーション向上とスタッフの昇給を実現しています。

2.事例から見る効果的な改善ポイント3つ

経営改善した飲食業の成功事例集
抱える問題はそれぞれ異なりますが、経営が改善した事例にはいくつかの共通点がありました。つぎに経営改善に効果的な3つのポイントをご紹介致します。

①顧客評価に繋がる接客サービスの見直し

接客サービスへアプローチした多くの事例には、顧客満足度が高くなったという結果があらわれました。接客サービスの質が上がることは、宣伝効果にもつながり顧客数上昇が期待できます。
さらに満足度は顧客1人あたりの平均単価にも直結するため、収益改善に効果的な改善策だと言えるでしょう。

②設備の導入・改装による効率化

店舗の設計・設備が前時代的なものであれば、新たな設備を導入することで業務の効率化が見込めます。経営改善の事例に見られたように助成金で対応できるものも多く、低コストで店内の設備を刷新することも可能です。

助成金はさまざまな種類があり、事例として取り上げた会社は「業務改善助成金」や「業種別中小企業団体助成金」を利用しました。どちらも厚生労働省が賃金底上げのために実施しているものであり、電話1本から申し込めます。

③専門家による経営指導

経営陣が具体的な改善策を打ち出せない場合は、飲食業の経営改善を得意とする専門家に頼ることも有効な手段です。専門設備や業務の効率化に対する理解が深く、現状の問題を解決する的確なアドバイスが期待できます。

3.まとめ

いかがだったでしょうか?
今回は賃金において問題を抱える、飲食業界の改善事例をピックアップしました。どれも異なるアプローチではあるものの、スタッフの業務効率化と顧客満足度の上昇にフォーカスした成功例が多いです。
これら2つが向上する改善策を打ち出すには、経営が抱える問題を多角的に分析する必要があります。他の成功例にとらわれることなく、現状にあった戦略的な改善策が求められることになるでしょう。

出典:厚生労働省「~最低賃金引き上げに向けて~生産性向上の事例集」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/syousaltusi_1.pdf
出典:厚生労働省「~最低賃金の引上げに向けて~生産性向上の事例集」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/sassi28.pdf