改善事例集~独自アイデア編
- 2018年8月24日
- webassist
- 0 Comment
時代の変化とともに企業が短命となりつつある昨今、中小企業は次々に生まれては消えていきます。成熟した市場であるほど劇的な経営改善は難しく、歴史ある企業が倒産するケースも珍しくありません。
現代の厳しい環境下では、どのような戦略による経営改善が有効なのでしょうか? 今回は徹底した顧客目線やちょっとしたアイデアで、経営状況を大きく改善した事例をご紹介致します。
目次
- 1.ニーズ分析と独自商品を用いた改善事例
- ①徹底して顧客に寄り添う姿勢
- ②独立した職人との協働体制
- ③顧客の期待を勝ち取る独自性
- 2.発想の転換で市場縮小を乗り越えた事例
- ①ロス削減のため社内意識を改革
- ②顧客との関係を強固にするアイデア
- 3.まとめ
1.ニーズ分析と独自商品を用いた改善事例
株式会社エコビルドは、建築やリフォーム提案を行う小規模な企業です。同社は建築会社としての経営が難航した時期に、エコを意識した環境調和型の建築に力を注ぐことを決意されました。
利益を考慮せずに考案したソーラーハウスが評価を受けて、建築会社としての経営改善に希望が生まれました。現在はエネルギーコストの削減やソーラーハウス建築など、環境への配慮を重視した取り組みを行っています。
① 徹底して顧客に寄り添う姿勢
株式会社エコビルドでは会社の利益を優先した提案ではなく、顧客の将来をヒアリングして最適な手段を打ち出しました。その成功の前提は、建築する側が思う良い建物と、居住する側が思う良い建物が同じとは限らない、ということです。
同社では生活スタイルやこだわりを余すところなく聞き取り、ハウスメーカーでは対応できないレベルの要望を実現させています。さらに後から必要になる修繕や対策、専門知識を持たない顧客が気付かない部分まで徹底してサポートしています。
多額の資金が必要となるマイホーム購入を、顧客となる家族一人ひとりと一緒に考えています。こういった姿勢が評価され顧客のリピート率は向上、地元から支持を集める強力なブランドを築き上げました。
② 独立した職人との協働体制
株式会社エコビルドは新しい職人の雇用を辞め、従業員の独立を支援しています。そして同社から独立した職人たちとネットワークを築き上げ、少しずつ協働体制の範囲を拡大する、という手法です。単独でこなせない業務は外部に協力を仰ぐことで、対応できる依頼の幅を広げました。
同社で育った職人たちは徹底した顧客目線を受け継いでいるため、認識のすり合わせに時間がかかる外注依頼の問題もクリアしています。
③顧客の期待を勝ち取る独自性
1棟目に建築したソーラーハウスが経営改善のキッカケとなりましたが、株式会社エコビルドはその後にも受注依頼がない時期を経験しています。しかし環境配慮を重視した経営方針はブラさず、自社でソーラーシステムを組み込んだ事務所を建設しました。
エコ事務所は当初、周囲からの批判もありましたが、見学モデルとして利用され、1年を通して快適に過ごせることを実感した顧客から注文が殺到しました。常識にとらわれずに独自の戦略を続けたからこそ、経営を立て直して黒字まで回復したと言えます。
2.発想の転換で市場縮小を乗り越えた事例
株式会社駒ヶ根電化は、あらゆる金属処理加工を行う企業です。同社では生産効率の改善に注力するためMFCA(マテリアルフローコスト会計)を導入し、製造過程で発生する損失の原因を調査しました。
この調査によって浮き彫りになった問題を解消し、収益はの改善に成功しました。経営成績が向上したあとも顧客に対する要求を徹底的にクリアし、県内有数の設備を使用して多彩な依頼をこなしています。
①ロス削減のため社内意識を改革
株式会社駒ヶ根電化では原価を抑えることが経営改善に繋がるため、製造段階における不良品の発生率を削減するべきだと判断しました。そして社内全体に対してTPM(生産効率を高める生産革新)活動を提起し、重要なクレームが発生しないように社員それぞれが意識を高めています。
機材の故障で製造ラインが停止すれば不良品の発生原因になるため、以前よりも入念に定期点検を行うことで稼働率低下を防止。チームのレベルが向上するとともに、ロスが少なくなり製造原価の問題は改善されました。
②顧客との関係を強固にするアイデア
メッキ処理施設を導入するには、認可を得るために多くの費用と時間がかかります。そこでメッキ処理施設の導入が困難な顧客のため、株式会社駒ヶ根電化の工場内に特定顧客専用の製造ラインを確保する体制を取りました。これにより同社に対する顧客からの認識を利害関係のみの加工業者から、一緒にモノづくりを進めるビジネスパートナーへと変えました。
このように顧客との対等な関係を意識することで、お互いに意見し合える協働関係を実現しました。社内の意見だけでは材料不足であり、多くの顧客から情報を取り入れる姿勢が経営改善として結果にあらわれています。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか?
経営を改善するためには製品や市場ににフォーカスした戦略が必要であり、中途半端な取り組みでは良い結果を生みません。事例としてピックアップした2つの企業は、それぞれ異なる手法ではあるものの問題に対して徹底的に向き合っていました。
経営改善に絶対的な手法はありませんが、経営悪化の原因は必ずどこかにあります。分析で原因を特定できたのであれば、常識にとらわれることなく最適な方法を追求する姿勢が大切です。
出典:経済産業省「中小企業向け 経営改善事例集 ~環境視点が企業を変革する~」
http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/kankyo/recycle/data/keieikaizen_jirei.pdf