改善事例集~営業見直し編

ターゲットを効果的に取り込む営業は、企業が売上を伸ばすために必要な要素の1つです。営業成績は戦略的な取り組みによって向上するものであり、やみくもに活動していても数字が改善されることはありません。

営業成績に問題のある企業は、営業活動のクオリティを高めれば良いのでしょうか?今回は営業に関する問題を解消して、経営改善に成功した事例をご紹介致します。

目次

1.的確な取り組みで営業成績が改善した事例

営業活動の見直しで経営を改善した事例集
売上が落ち込む要因の1つとして営業力の不足が挙げられます。営業成績が悪化する要因はさまざまですが、的外れな方法では営業活動の改善は難しいです。しかし、どのように取り組めば良いのか判断が難しいことも事実です。
この項では営業に関する問題をどのように解決したのか、実際に改善した2つの参考事例をご紹介致します。

①営業情報の共有によるサービス体制の強化

印刷物の製造を行う株式会社井上ダンボールでは、取引先の情報をスタッフそれぞれが所有しており、営業を強化するためのデータベースが構築されていませんでした。さらに営業ノウハウ・ツールが用意が不十分であり、営業マンの資質を効果的に引き上げることが困難な状態だったようです。

そこで営業マン同士のコミュニケーションを強化し、日報による営業情報の共有を徹底しました。これにより営業マンが個人で保有していた情報を一元化、データベースを作成したことで顧客への対応力を向上させています。

そして自社製品を紹介するツールがなかったため、営業に使用できる商品カタログを作成しました。さらに顧客である取引先に、営業評価を判断してもらうためのアンケートを実施。自社では洗い出せなかった改善点を客観的に把握しました。

これにより自社商品への不満や営業力の不足を再確認し、営業活動を中心とした会社全体の経営改善に方向性が生まれました。結果として営業マンの意欲は向上し、十分な情報交換によって取引先への対応がスムーズになりました。

②機材導入による営業先の拡大

理・美容業界は市場の低価格化が進み、競争が激化しています。2つ目の事例としてピックアップした佐賀県の理美容店では、新たなターゲット確保のために移動式理美容車を導入しました。厚生労働省が推奨する助成金を利用して、出張営業に必要な機材をそろえました。

そして営業ターゲットの拡大とともにスタッフを増員し、事業展開のスピードを加速。結果として生産性は向上し、スタッフの賃金アップに成功しています。

同店では柔軟な働き方を求める女性をサポートするため、パートタイム勤務のスタッフを積極的に採用。理美容業界はスタッフの定着率が低いですが、スタッフの労働条件にフォーカスすることで離職率の改善も見込めます。

2.営業成績の向上に有効な改善策

営業活動の見直しで経営を改善した事例集

営業成績は営業マンの能力による部分が大きいですが、トーク力を磨くことでしか改善できないものではありません。もちろん現場ではトーク力が頼りになりますが、事前準備こそ効果的に営業成績を向上させるポイントです。
この項では、営業成績の改善に有効な方法をご紹介致します。

①データベースの共有

営業マンが顧客情報を個人で保有するケースは多いですが、情報を共有してデータベース化することは検討すべき方法の1つです。データベース化することで全体の傾向が把握しやすくなり、市場全体のニーズが移り変わる様子にいち早く気付けます。

また全ての顧客データにアクセスできる状態にすることで、担当外の顧客に対するレスポンスがスムーズになります。課題発見の早期化や問題への意識共有も容易になり、営業活動の効率化が期待できるでしょう。事例に挙げた中では「日報による情報の一元化」がこれにあたります。

②適切なプレゼンツールの使用

自社製品を売り込むうえでトーク力は重要ですが、数字やデータは口頭よりも視認できる資料での説明が伝わりやすいです。具体的な数字は顧客の信頼を掴むうえで重要であり、営業力を向上させるために欠かせない要素と言えます。

自社製品のプレゼンに使用するツールは定期的にアップデートし、顧客目線に寄り添った内容であることが望ましいです。事例に挙げた中では「商品カタログの作成」がこれにあたります。

③市場ニーズの把握

取り扱う自社製品に変化がない場合でも、市場や顧客のニーズは少しずつ変化しています。新しい顧客の獲得を狙うのであれば、なおさらニーズの分析は欠かせません。

顧客はどのような製品を求めて、どのような売り込み方が有効であるのか常に分析することが重要です。事例に挙げた中では「出張営業の実施」がこれにあたります。

④競合相手との差別化

顧客に営業を持ちかける際には、同じ市場における競合相手の存在も考慮しなければなりません。大きな市場であるほど、他社からも営業を持ちかけられている可能性が高いです。

その中で自社製品を選んでもらうためには、自社製品が持つ強みを活かした他社との差別化が必要となります。事例に挙げた2社の「営業評価のアンケート」や「移動式理美容車の導入」がこれにあたるものです。

3.まとめ

いかがでしたでしょうか?
経営悪化の原因が営業力の不足であれば、取引先への働きかけ次第で売上が変動する可能性は高いです。まずは営業成績が振るわない原因を特定し、どこに問題が隠れているのか探さなければなりません。

営業マンの能力不足であれば教育の見直し、顧客ニーズの不一致であれば市場の再分析など取るべき手段は全く異なります。原因の特定が困難であれば専門家のサポートも検討し、的確かつ素早い対処が必要です。

出典:公益財団法人あいち産業振興機構「専門家派遣事例8」
http://www.aibsc.jp/tabid/327/Default.aspx

出典:厚生労働省「~最低賃金の引上げに向けて~生産性向上の事例集」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/syousaltusi_1.pdf